江東区臨海部航空写真

正月に羽田から飛び立ったときにちょうど見えたので写真撮ってました。画質ボヤッとしてますが、やはり江東区護岸は複雑なカタチしています(笑)

江戸時代から埋立てが始まって、段々と陸地が増えて行って今の状態にありますが、古地図で天保14年、1843年の江東区あたりのものがありました。

天保14年(1843)江戸

こうして見ると今の豊洲、有明、辰巳、新木場地区なんて海だったわけですね。きっとアサリもザックッザク獲れたんでしょう。そうでなければ深川丼なんて名物が出来なかったでしょうし。

江東区の海で遊ぶって言っても、海汚くない? って思われる方々も多いと思います。

コンクリートで固められた護岸に挟まれた運河はどんよりした感じで、あまり青々とした印象がないので、都会に面する海だけに汚染もひどい状態なんぢゃないの!? ってところでしょうか。

そう思われても仕方がない黒歴史もありましたし、年配者ほど高度成長期の汚染の印象が強く残っていて、汚いものと思われているのではないでしょうか。

実は見た目にも水質としても、そういう時代から30年以上経った今、かなりきれいになっているのです。見た目はそのときの天候具合や、水温の高い低いにも依ります。

水温の高くなる5月くらいからプランクトンの活動が活発になって赤茶色っぽくなった状態、いわゆる『赤潮』に近い状態だったりしますが、この状態を見たら確かに汚く見えると思います。見た目そうなのだから仕方ありませんが、工業廃水が流れ込んだとか、猛毒が含まれているのではということではありませんので、大丈夫です。

今どき、臨海部で操業する工場から規制以上の排水が垂れ流されていたら、即操業停止になるだろうからそんなことはほぼないはずですし、江東区や中央区、港区、江戸川区では意外と製造工場らしきものは、今ではほとんど見当たらなくなりました。

辰巳運河界隈

で、ここで意外な事実をお伝えしなくてはなりません(笑)

先にご説明した水温が高くなってプランクトンの活動が活発になって…というのを手助けしているのは、実は我々の生活排水によるものが今では大半を占めているということです。例えば米のとぎ汁です。

一人一日の平均消費量のお米を研いだ、米のとぎ汁に含まれる主な汚濁物質の量は、米の種類や精米方法によっても異なるでしょうが、財団法人日本土壌協会が市販の普通精米を使った調査では、下の表のようになっています。

米のとぎ汁による汚染物質
特定非営利活動法人 全国無洗米協会様ウェブサイトより拝借

自然のものを海に返して何が悪いの? と、僕も最初思ったもんです。しかも直接垂れ流してるわけでもなく、下水道通って処理されて海に排出されているのではないの? と考えるのも当然かと思います。ところが下水処理もまだまだ完璧な処理能力があるわけではありません。

東京湾の汚染原因のうち、工場などの産業系の排水は20%にすぎず、70%を家庭排水が占めています。
家庭排水はトイレの排水と台所や風呂場・洗濯から出る生活雑排水からなります。生活雑排水の汚染原因の大半は台所の炊事排水です。炊事排水の中のお米のとぎ汁にはリンやチッソなどの栄養素が多く含まれています。

ひとり1日あたりの生活排水内訳
特定非営利活動法人 全国無洗米協会様ウェブサイト中、環境省:生雑排水対策推進指導指針より拝借

これらの汚染物のうちチッソやリンは無機質であるためバクテリア分解に頼る通常の下水処理施設では分解処理されずに河川、湖沼や海洋に放出されてしまいます。下水処理技術の高い下水処理場でも、チッソ 53%、リン34%が処理しきれず素通りしてしまいます(東京都下水道局のデータより)。チッソ、リンが水の富栄養化をもたらし、水道水の嫌な臭いや、赤潮、アオコ等の発生原因にもなってしまうのです。

ということで、全国無洗米協会様がキチンとご説明されている通りなのですが、お米は大切な食べ物です。お米が悪いわけではありません! 念のため。

とぎ汁は直接流さないで、貯めて植木鉢にでもやってください。というお話もあったりしますが、なかなか多忙な日常でそこまでやってられるか!ってのもわかります。可能な限り油などは拭き取るとか出来る範囲のことはやって、あとは下水道処理でなんとかしてもらえないだろうかと軟弱な僕もそう思っています…。

ということで、東京湾奥、江東区の海ってどーなんだ!? ということでこんな話になったのですが、意外と自分らも日常の水の使い方を気をつけないといけない部分もあるんだなぁということ、あるようです。

結局人間が悪いみたいな話になっても仕方ないので、少しでも意識するところから始めていただければこれ幸いでございます。

次回はもうちょっとCODとかT-Nとかのこと書いてみようと思います。

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