前のブログで江東区の下水処理場の紹介と、東京湾を富栄養化させている窒素やリンの処理は、通常の下水処理ではそれぞれ50%くらいが目下のところベストエフォートということなど書きました。

毎年5月に入るころに、江東区臨海部の潮は段々と赤茶色っぽくなります。例えばこんな感じで。

枝川 赤潮

以下の画像は同じ運河で赤潮でない状態の時、まぁ普通の状態でこんな感じですかね。

通常の運河の潮色

いわゆる『赤潮』と呼ばれる状態の一種ですが、日本国中探せば赤潮の状態ってこんなにハッキリと赤! だったりします。赤潮で画像検索してみると、先の画像くらいならまだマシと思ってしまうくらいですね。

赤潮検索画像一覧

ということで、この『赤潮』ってヤバいの? 有毒なの? ということですが、海の色がこんだけ赤いと、うわっ! って思いますよね。どうしてこういう状態に毎年決まってなるのか、このように解説されています。

東京都内湾では赤潮の発生が慢性化しており、特に夏場は赤潮状態が定常化しています。赤潮は海域への窒素・りんの流入による富栄養化により発生し、内湾で内部生産される二次汚濁物質として水質汚濁の原因となっています。

水中に生存している微細な生物(特に植物プランクトン)が異常に増殖し、水の色が著しく変わる現象です。水の色は原因となるプランクトンによって異なり、赤褐色、茶褐色などの色を呈します。
赤潮の原因としては窒素、りんの増加に伴う水域の富栄養化、陸水や降雨による塩分低下等の物理的刺激などの説があります。赤潮が起きると環境水塊が急変するため、その水域の生物に被害を与えることがあります。毒性を持つプランクトンも存在するため、特に養殖を行っている瀬戸内海などでは大きな被害をもたらすこともあります。
東京都内湾では、赤潮の年間発生日数は、ここ数年は夏季を中心に90日程度で推移しています。

東京都環境局サイトより拝借

なるほど。んぢゃ、この『赤潮』が発生すると何が都合悪いの!? って思いますが、悪影響はこんなところです。

●魚貝類への影響、ひいては我々の住環境の悪化へと続く

江東区臨海部だけの問題ではなく、東京湾全体に影響を及ぼすものと考えると、漁業への打撃、遊漁船の利用者の減少など考えられます。赤潮が発生すると水中の酸素が減少してサカナや貝などが死にます。それがプカプカ浮きっぱなしになったら見た目もひどいし、悪臭が立ちこめ、屋形船で夜景見ながら天ぷら食ってカラオケやってられっか! となる。臨海部で人間も住めなくなります。それぢゃまた昭和30年代の高度成長の公害時代に逆戻り!? ってことになってしまいます。

まぁ、赤潮だけでそんな大袈裟なっ! て部分ありますが、せっかく工業廃水が規制され垂れ流しがなくなり、下水処理の技術などを向上させて対応しているのに、何気ない日常生活のサイクルの中で出てしまう家庭排水が原因とは心苦しいところではあります。

『赤潮』について、学問的に入り込んで行くと、これもまた深くて広い世界になっています。東京湾で発生する赤潮の代表的なプランクトンというと、『Heterosigma akashiwo(ヘテロシグマ アカシオ』『Skeletonema costatum(スケルトネマ コスタツム』など出て来ます。生物学、植物学的に興味のある方々は是非、探求されてみてはいかがでしょうか。

臨海部の赤茶色の状態は、夜になり北風が吹いて、雨もぱらつくなどがあると、水温が下がってプランクトンの活動が収まるせいか、翌朝消えていることがあります。

で、結局、透明に近ければ良い潮なのか!? ってことですが、人間、水は透明であればあるほどきれいなものと思うもんです。ペットボトルの水が少しでも濁っていたらエラい騒ぎになるでしょうし。

エーゲ海の真っ青な海は見た目きれいですが、あればあまり生命力のない海だと言われています。『水清ければ魚棲まず』と言いますが、見た目透明だとか、真っ青であればいいってもんでもないようで、江東区臨海部の海、東京湾の海も多少濁ってるくらいが海中の生物にとっていいわけで、現状栄養が多すぎるということです。

江東区の河川水質調査経年変化の表とグラフ(1989年〜2018年)がありましたので、拝借。

江東区の河川水質調査経年変化の表とグラフ
https://www.city.koto.lg.jp/380303/machizukuri/sekatsu/suishitsuosen/documents/30keinennhennka.pdf

ここでCODとかBODが出て来ました。CODは河川ではない海域で、BODは河川での調査結果を表示します。数字が並んでますが、基準はどうなってるのかと言うと、江東区の環境(水質)基準によると、CODは8mg/L以下が望ましく、BODでは5mg/L以下が望ましいとされています。

こうして見てみると、平成の時代になってCODの基準が超えたのは、平成12年(2000年)と平成22年(2010年)だけのようです。ほぼ毎年基準を超えることなく推移しているけど、もうちょい良くなるには何か壁があるようです。家庭排水が少なくなって、下水処理能力がアップすればいいのでしょうか!?
江東区の環境水質基準はこちら

COD(化学的酸素要求量)とは

単にCODという場合は、わが国では通常、硫酸酸性で過マンガン酸カリウムによって沸騰水浴(100℃)で30分間反応させた場合の消費量(CODMn)を指します。
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人為的汚濁のない水域のCODはおおむね1㎎/l以下です。 利水目的によるCODは、水道用水源としては3㎎/l以下、水産用水としてはサケ、マスなどには3㎎/l以下、コイ、フナなどには5㎎/l以下、農業用水としては溶存酸素の不足による根ぐされ病の防止の点から6㎎/l以下が望ましいとされています。
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水中の有機物等を酸化剤で酸化するときに消費される酸化剤(過マンガン酸カリウム)の量を酸素の量に換算したものです。汚染物質が多ければ値は高くなる。
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酸化剤により有(無)機物が酸化されるときに消費される酸化剤の量を酸素量に換算したものを示します。BODとともに有機汚濁の指標としてよく用いられます。
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測定方法は、試料水と過マンガン酸カリウムが入ったものを30分沸騰させて、シュウ酸ナトリウムを滴定し色の変化から過マンガン酸カリウムの消費量を測定し、それに相当する酸素量を算出する。

といった解説がありました。一方BODですが、CODと意味するところはほぼ一緒で、CODは河川ではない海域で、BODは河川での調査結果を表示します。

BOD(生物化学的酸素要求量)とは

水の汚染を表す指標のひとつ。好気性微生物が一定時間中に水中の有機物(汚物)を酸化・分解する際に消費する溶存酸素の量。水1リットルあたり何mgの酸素が必要かを数字で表す。密閉遮光した中で気温20度、5日間放置して測定。(ppm で示すこともある昔の事で今はほとんどない)主に川の水質を表す。生物化学的酸素要求量。
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好気性微生物によって有機物が分解されるときに消費される酸素の量を示します。好気性微生物に分解できないものは測定できません。湖沼、貯水池などではプランクトン等の呼吸も影響します。最も広く使われている汚濁の指標で、BODが高いと悪臭の発生などが現れはじめます。

DO(溶存酸素量)とは

DOとは、水中に溶けている酸素(O2)量のことをいいます。
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水中に含まれる酸素の量を示します。水中の酸素は、水生生物の生活には不可欠なもので、魚類等の呼吸や有機物の好気性分解に使用されます。有機物による汚染が著しいほど低い値を示します。夏期で3.1〜4.1mg/リットル、冬期で1.4から3.1mg/リットルのDOが必要と言われている。

用語解説的なことでした。他にも水質測定項目はありますが、また追々出て来たところで上げて行きます。

赤潮と通常の水質についてたらたらと書いてみましたが、とりあえずこんなところです。今年、僕は東京都下水道局の「平成28年度下水道モニター」に選んでもらいましたが、専門家と会ってお話しする機会が訪れることを楽しみにしています。

引き続きまた何か書いていこうと思います。

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